高校の修学旅行での鮮烈な印象が頭から離れなかった紅葉の奥入瀬渓流をちょうど40年ぶりに訪ねてきました。
たまたま半月前にネットを見ていて宿を調べたら紅葉の3連休でもわずか1万円ちょっとで一人で泊れる温泉がみつかったのでそれ行け!とばかりに夜行バスと帰りの新幹線を予約したんです。
金曜の夜に池袋を出て八戸へ朝7時着。十和田湖行きのバスに乗り換えて11時過ぎに待望の十和田湖畔に降り立ちました。天候は快晴
、東京では木枯らし1号が吹いたというのに北の空はおだやかに迎えてくれました。
まずは湖畔を歩いて有名な乙女の像見物。高村光太郎作でしたね。紅葉を背景に湖畔に立つ姿はやはり心に響くものがありました。
それにしても先週の飛騨高山もそうですが、やはりここにもアニハセヨーとニーハオの姿が大勢いました。円高だというのにアジアンパワーは衰えませんね。
定番の観光コースは十和田湖遊覧船で奥入瀬渓流口へ向かいます。50分の船の旅はなんとなんと定員400人なのに貸し切り!!でした。
船の案内にしたがって右左に自由に移動して紅葉に彩られた湖畔の風景や透明度の高い湖を堪能しました。
大きなふたつの半島をもつ十和田湖ですが、御倉半島は切り立った断崖が白い岩肌をみせて紅葉の彩りと見事なコントラスト。半島に囲まれた中湖は327メートルと全国3位の水深です。
子ノ口で遊覧船を降りるとそこは奥入瀬渓流の起点となっています。湖畔の橋の上から奥入瀬渓流の流れのおだやかな始まりを眺めて、いざ14キロの渓流ウォークです。
ほとんど道路と平行して車窓からも楽しめる奥入瀬渓流ですが、まさに流れに沿って続く遊歩道からは盛りの最後を陽射しにきらめかせるブナやカエデの紅葉黄葉に包まれて、おだやかにそしてときに岩にくだける白いしぶきと轟音が目にも心にも強く響いてきます。
奥入瀬の雰囲気に包まれた瞬間思わず感動で目が潤んでしまいました。ちなみにここは万両の流れといわれるポイント。お金にも目がくらみたいものです。
川幅いっぱいに一気に流れ落ちるのが銚子大滝。ここはカレンダーやポスターにもよく出るビューポイントですがヘボカメラマンじゃイマイチですね。
顔を上げると真っ青な空に見事な紅葉が輝いていました。
そして奥入瀬の流れはますます変化に富んで滝が次々と現れます。この雲井の滝はその中でも水量豊富で5段の流れはなかなかの迫力でした。
そして多くの急流の代表的な景観がこの阿修羅の流れ。左右にうねりながらいくつもの岩にぶつかって水しぶきをあげる様はまさに荒れ狂う阿修羅のごとき世界でした?
ちょうど4時間かけてゴールの焼山からひと歩きして十和田温泉郷のグリーンホテルがこの日の宿。料金が料金だけに豪華さとは無縁ですが、料理もまずまずで24時間の露天風呂も申し分なしでした。
翌朝出発の8時前に予想外の大雨襲来。う〜ん奥入瀬渓流で満足…と悩みながらもレインウエアに身を固めて歩いて1時間ほどの蔦温泉周辺を散策しました。
ところが紅葉の樹林帯に入った途端あまりの見事さにしばしぼうぜん。雨の中をやってきたのは大正解でした。蔦温泉も明治から大正にかけて文人・大町桂月が名を広めた由緒ある1軒宿で今も木造の情緒たっぷりの宿でした。
周囲は1時間あまりの沼巡りのかっこうの散歩道になっていてこの菅沼では湖面に映る紅葉の木々が雨にけぶってなんともいえない雰囲気がただよっていました。
40年ぶりの念願の旅は今回も蔦温泉の叙情と合わせてさらにまた深い感動を心に刻むものとなりました。