ここ何年もあこがれ続けていた日本最南端の百名山、屋久島「宮ノ浦岳」に念願かなって無事に登ることができました。
屋久島は福岡勤務だった2年前に観光バスとフェリーで1泊で訪ねたことはありますが、まったくの観光なのでバスで行ける範囲内のコースだけ…ということでますます山への思いが募っていたところです。
今回はちょっと早い夏休み第1弾で、山の仲間3人とともに東京から3泊4日でメインコースをすべて?回るぜいたくな、でもちょっとハードな行程にチャレンジしました。
南九州の梅雨明けから数日後の7月16日(木)に飛行機とバスと高速船トッピーを乗り継いで午後3時前に屋久島・宮ノ浦港に到着。もちろん満面の笑みですが、島は雲にすっぽり覆われて蒸し暑さで前途が心配な気分でもありました。
Oさんが運転を引き受けてくれて、まずは滝巡りのドライブです。千尋(せんぴろ)の滝は、遠めですが巨大な一枚岩を流れ落ちる壮大な滝で、昨年は事故死も起きたところのようです。
千尋の滝の流れの終着地かと思われるところで、海に直接流れ落ちているのがトローキの滝です。道路から海岸への木立の中を下っていって姿が見えましたが、スケールが小さめなせいかあまり人気はないようでした。
最後の滝は、日本の滝百選にも入っている落差88メートルの勇壮な「大川(おおこ)の滝」です。横位置の写真でスケールがわかりにくいでしょうが、滝つぼまで降りられることもあって迫力は相当なものでした。
初日の観光コースの仕上げは、干潮の時だけ入れるという「平中海中温泉」で汗を流しました。屋久島のちょうど南端、東シナ海と太平洋の大海原を眺めながらの露天風呂はなんともぜいたく、最高の気分でしたが、なにせ着替え場所は岩の上。もちろん?混浴で外人さんや女性たちも入ってきましたがバスローブでしっかりガードしていました。ちなみに階段を下りる3人の入浴シーンも撮りましたがコンプライアンス上問題がありそうなので割愛します。
この日は、登山口に便利な安房(あんぼう)の町のホテル屋久島山荘に宿泊。秋篠宮様も宿泊したという宿ですが、料金も安くトビウオや地元の食材をアレンジしたケンチャン!という煮物、首折れサバの刺身などおいしい料理と屋久島といえば…人気の焼酎「三岳」もたっぷりといただいて、明日がシンパイ…でも9時過ぎには全員バタンと寝入りました。
2日目はいよいよ待望の宮ノ浦岳です。標高は1935メートルと2000mにも満たない山ですが、九州では1番、西日本でも3本に入る高度に加えて麓から山頂まで、亜熱帯から寒帯までの気候と植生を持つ特異な山でもあり、世界遺産にふさわしい多様な魅力を備えている山なのです。
日帰りルートでまずは淀川登山口までレンタカー。海岸線から一気に1360mまで運んでくれて大助かりです。とはいっても山頂まで往復9時間近い行程ですから甘くはありません。ようやく朝日が射し始めた道を歩き始めました。
淀川小屋で朝食を取って本格登山開始。1時間半ほどで山中の湿原花之江河です。ガスが立ち込めて展望はききませんが幻想的な雰囲気はありました。
さらに1時間ほど歩くと屋久杉や樹林に囲まれていた登山道から、低い潅木や笹の草原帯ののびやかなコースが続いてきます。
周囲には巨岩が林立してきて、モヤイ像そっくりのこの岩には驚かされました。それにしてもどうやって岩の上にまた岩が乗っかったんでしょうか?削られたのかもしれませんがやはり自然は不思議です。
歩き始めから4時間近くたって山頂が間近になってきました。上空は青空も広がって途中では大海原も見渡せました。写真真ん中の赤い点は我らの仲間、健脚のOさんです。
そして10時半、待望の宮ノ浦岳山頂到着。さっそく会の旗を持って記念撮影です。もうこれで思い残すことは…それはちょっとおおげさですが。大ベテランながら初めてのNさん、体力に不安のあったKさんも無事登頂できて感激していました。
我々の登頂を歓迎してくれたのか、若いオスのヤクシカが山頂でひたすら草を食べていました。目の前を多くの登山者が通ってもシャッターを押してもまったく動じることなく、ここは自分の庭だと主張しているようです。でもこちらは2年前には出会えなかったヤクシカにこんなに間近でふれあえてこれまた大感激でした。
山頂で1時間近く休んでから同じコースを下山。午後3時40分に登山口に着いて、またレンタカーで紀元杉など見てから昨日と同じ宿に戻りました。もちろん夜も昨日と同じようにおいしい料理と三岳を満喫しました。
3日目はさらに強行軍です。朝3時に起床。4時前にタクシーに乗って昨日と反対側の荒川登山口へ。そうです、屋久島といえば大人気の「縄文杉」見物…とはいってもものけ姫の森「白谷雲水峡」まで9時間以上のほぼ登山ロングコースです。
まっくらな中を歩き始めたトロッコ列車軌道の鉄橋に我々の後から、こんどはまた一目会いたかった「ヤクサル」がついてきました。私がカメラを向けると後ろを向いて赤いお尻を見せました。
2時間のトロッコ軌道から山道に入って間もなく、江戸時代に切り倒されたというウイルソン株が祠のある幹に入るとポッカリと上空が開いていました。どうですかね、ハート型に見えますか?カメラマンの腕が悪いからよくわかりませんね。
そして、歩き始めて4時間ほどで超有名な「縄文杉」とご対面しました。実はこの日から道路規制で登山口まではシャトルバスかタクシーだけ。夜明け前にタクシーで来た我々はトップバッターとしてゆっくりと縄文杉を観察できたのでした。
うわさに聞いていた樹齢7000年かという巨木ですが、その人気にたがわず幹の直径が10m近く威風堂々としながら大きく伸ばした太い幹には葉も繁ってまだまだ死なないぞという存在感が漂っていました。横写真を3枚つなげるとなんとか全体が…でもそういうつもりで撮っていないのでズームも角度もバラバラ…相変わらずへたくそなカメラマンで失礼しました。
縄文杉は保護のため展望デッキからしか見られません。人がいないので自動シャッターでの記念写真です。
細い岩ゴロゴロの山道を後続組みをすり抜けるように急ぎ足で下って予定より1時間ほど早く、白谷雲水峡との分岐へ。ここからトロッコ軌道と別れて峠道を1時間登り。歩き詰めの足腰にはけっこうきつかったです。できれば周回の散策コースを歩けば苔むして太古の雰囲気に浸れるもののけ姫の森をもっと堪能できたのでしょうが、それでも下山道の周辺もなかなかの雰囲気でした。
後半はまさに雲水峡の名にふさわしく清冽な水の流れと岩と樹林が織りなす景観が見事でした。
急ぎ足でハード行程歩いたおかげで、予定より1時間も早く管理センターに着きました。ここからタクシーで宮ノ浦港へ。そこで築地でなじみの気のいいラーメン屋店主の弟経営しているそば屋へ、のつもりでしたがあいにく我々が着いた時間には店じまいしていました。
しかたなく観光会館2階のレストランで食事をして(おいしかったです)、港のみやげ物店でなんと希少の「三岳」をゲットできて、まさに最高の気分で屋久島に別れを告げました。
この旅の最終日は、せっかくだからということで?同じ鹿児島・指宿にある百名山「開聞岳」に登ることにしました。前日は指宿港に近い温泉民宿泊まり。民宿ながら料理も上々、焼酎もまさに幻の一品が揃っていてビックリでしたが値段もビックリなので遠慮しておきました。
バスで1時間近く揺られて開聞登山口へ9時前に到着。途中雨もパラついて雲を被った開聞岳でしたが、朝から思った以上の蒸し暑さに苦労しました。
樹林の中を歩いて1時間ほどでようやく木々の切れ目から下界が見渡せました。ガスの中ながら写真のイッシー騒動もあった池田湖。開聞岳展望の長崎鼻の海岸線も見えました。
そこからは岩登り気分の登山が続いてようやく歩き始めから2時間15ほどで山頂到着。ごらんの白い世界で、快晴なら屋久島もバッチリ見えるはずの展望はあいにくでした。
とにかく蒸し暑さとぬかるみで汗みどろ手袋とズボンどろんこになりながらやっと下山して、今度はJR枕崎線のローカルワンマン列車に乗って、途中の日本最南端の駅から、今登った開聞岳をシャッターに納めました。やっぱり山頂は完全に雲の中ですね。
30分ほどで指宿駅に到着。元湯温泉に飛び込んで汗みどろの体をさっぱりと洗い流して身支度も整えてようやくリフレッシュできました。もちろん湯上りのビールは旨かった!
さあ、これで最上の南九州満喫旅もフィナーレです。指宿からは連絡バスで鹿児島空港へ直行。早めの夕食で4人全員での計画完遂を祝して打ち上げの乾杯、それぞれ家族や職場への土産を買って一路羽田へと帰途に着いたのでした。