久しぶりに東京にもひと雨きた9月1日の土曜日から1泊で、大人の休日キップを利用して北陸に行ってきました。
一番の目的は富山県越中八尾の祭り、おわら風の盆見物です。三味線、尺八、胡弓としっとりした謡いに合わせた踊りで街中を練り歩く風情あふれる郷土の祭りで、毎年9月1日から3日まで行われています。
以前時期はずれに訪ねた時も街並みの景観に感動しましたが、ちょうど祭りの本番が土曜日になるのは7年に1回ということで、格安キップの日程ともピッタリで、これは行くしかないと決めた次第です。
2ヶ月ほど前に調べた時にはすでに市内のホテルはすべて満室でしたが、地元旅館の手配でなんとか滑り込みセーフでした。
上越新幹線から北越線経由の北陸本線特急で10:20に富山着。
まずは市内観光ということで、路面電車ライトレールに乗って富山港に面した、北前船の拠点として賑わった往時を偲ぶ岩瀬地区を散策しました。
廃線になった鉄道路線を生かして復活した路面電車は富山の新しい風物詩として人気で車内もいっぱいでした。旧駅舎の残る東岩瀬からまずは天保食堂に入って、富山名産白エビのコロッケ付きの海鮮丼を賞味。
店の造りも落ち着いて生ビールセットで満喫しました。
街並み散歩は北前船時代の大きな商家を見学。
北前船のモデルもあり広々した室内は往時の賑わいを偲ばせてくれました。
老舗和菓子屋でお土産を買ってから20mの展望台に上がって富山港周辺を一望。
立山連峰も望めるはずでしたが、残念ながら雲の中でした。
海沿いの岩瀬から富山駅に戻って宿泊ホテルにチェックイン。駅前案内図にも乗っていない隠れ家?で窓なしでしたが部屋は広く清潔で、3500円なら申し分なしです。
部屋にザックを置いてすぐに外出。ほど近い富山城跡を訪ねてから駅に向かいました。
富山駅から八尾までは高山本線で30分ほどですが、この日は臨時を大増発しながら乗車整理券をもらって整列乗車です。こちらもなんとか滑り込んでちゃっかり着席。15:40に越中八尾駅に降り立ちました。
暦は9月なれど富山も東京並みの猛暑。
駅前から並ぶ屋台道では富山城跡の茶店で食べたカキ氷をお代わりしたくなるのをこらえて、中洲が整備された川に架かる十三石橋を渡って大勢の人波とともに、石垣に支えられた八尾の街中に入りました。
下新町から今町を曲がって西町に入ったところで三味線と謡いが聞こえてきました。
人垣をすり抜けて近づくとようやくおわら風の盆の町流しの踊りが見られました。
網笠を被った女性のやわらかい手踊りとリズミカルな動きのある男踊りが続いて、かわいい子どもたちも加わって風情溢れる雰囲気が広がります。
しばらく流しに付いて歩いてから、さらに石畳の日本の道百選通りの諏訪町に来ると、ちょうど通りの中で輪踊りが行われていて、まさにおわら風の盆のハイライトの景観と風情が満喫できました。
午後5時からは踊り手も休憩タイムに入るので、その間に早めの夕食。名物八尾そばの店は長蛇の列だったので、なんとか屋台村の席をみつけて広島風お好み焼きと生ビールでお腹を満たしました。これも祭りらしくてなかなかいいものです。
街中をそぞろ歩きながら、屋台が並ぶ聞名寺の境内を覗くと、なんとここも踊り場になっていてちょうど本堂の回廊で舞台踊りが見られました。
地元の連は休憩中でも、ここでは能登半島から参加の連がまた独特のおわら踊りを披露してくれて境内に溢れる観衆から大喝采でした。
18時を過ぎたこの頃から雲行きが一段と怪しくなってきて、駅方面に歩き出して間もなく雨模様。と、傘を広げると同時にたたきつけるような土砂降りになりました。
あっという間のことに街道脇の軒先で雨除けの人々を横目に歩き続けましたが、雨が横殴りになってさすがに屋根付き駐車場に逃げ込みました。
30分ほどしてようやく小止みになったので、19時からの踊り再開見物はあきらめて富山駅に戻ることにしました。
ところが、やっと着いた八尾駅では大雨で高山本線がストップしてまた人波で大混乱。なんとか1時間待ちで20時に動き出した列車に乗って無事富山駅に戻れました。
明日の早起きに備えておとなしくホテルに戻って汗を流してから、缶ビールと地酒立山に白エビかまぼこで一人打ち上げしてから寝床に入りました。
日曜日は4時起床。富山駅発4:53の大阪行き特急サンダーバードで福井下車。今回の大人の休日キップは糸魚川から先、JR西日本の福井駅まで利用できますがその先は別料金。なので福井駅周辺を散策してから美浜まで1280円キップを買って再乗車しました。
敦賀からは小浜線に乗り換えて原発で名を馳せてしまった美浜に向かいました。
美浜は地名のとおり若狭湾に面した風光明媚な所です。7年前には湿地と水鳥の生息地を守るラムサール条約に登録された三方五湖が有名な所で、やっと念願かなっての訪問でした。
まずは標高400mの梅丈岳山頂までタクシー利用。
途中のポイントからは直接日本海に面して漁業が盛んな日向湖が見渡せて、海と山と湖に挟まれて民家が立ち並ぶ生活色に満ちた光景は壮観でした。
駐車場からリフトで上がった展望台からは若狭湾から日本海が一望。
三方五湖は曇りがちながら眼下にすべて見渡せました。
美浜町出身の五木ひろしの歌碑とメロディーが目立ったのはご愛嬌ですね。
久々子湖畔のレイクセンターからは、漁業のために水門が閉ざされている日向湖を覗く4湖を巡る遊覧船に乗って、水月湖、菅湖と唯一淡水の三方湖を50分で見て回りました。
水月湖からは先ほど登った梅丈岳がどっしりと広がっていました。
下船後は、三方湖名産のうなぎ丼を食して北陸観光の旅もフィナーレ。
福井まではマジメに乗車券と特急券も買ってしらさぎ号で金沢駅へ出て、大混雑のはくたか号自由席になんとか座れて2時間40分。越後湯沢からの上越新幹線で帰路についたのでした。