敬老の日の3連休初日の土曜日に「坂東三十三観音霊場巡り」バスツアーに参加してみました。
数年前に自分の足で「秩父34霊場巡り」を踏破した時は、秩父駅からスタートして数回に分けて秩父線の最寄駅から歩いて巡ったんですが、今回は関東一円に広がって交通不便なところもあることと、たまたま8月の朝日新聞に阪急交通社の広告が載って、「参拝の心得、線香・ローソク、経本、納め札」の巡礼セットになだ万の弁当まで付いて、4つの寺を回ってなんと3,990円という特別料金に誘われて、いずれ歩くつもりでいた「坂東三十三霊場巡り」を急遽スタートしたというわけです。
台風18号が関東に向かってきそうな3連休ですが、初日はまだ晴れマーク。7時過ぎの東京駅は朝日がもう汗ばむほどの陽気です。
7時半過ぎに39名とほぼ満員の巡礼者?を乗せて横浜方面へ順調に進み、たった45分でトイレ休憩SAに着いてしまいました。
車中では巡礼装束に身を固めた先達さんから巡礼の心構えと手ほどきを受けて、「納経帳」まで購入してしまいました。
最初の一歩はやはり第1番札所の鎌倉「杉本観音」です。坂東三十三の巡礼では、必ず1番札所から歩き始めて(発願)、途中は順不同でもOKながら、最後は33番札所の房総館山「那古寺」で結願しなければならない決まりがあるようです。
行く先々で先達さんが丁寧に観音堂の謂れや歴史、仏像や本堂建築のあれこれを説明してくれます。ここは杉本寺仁王門。仁王像は必ず口を大きく横に広げた「ア」と一文字に結んだ「ウン」、つまり「アウン」の形で左右に並んでいるということも初めて知りました。
本堂では、全員見事な十一面観音像の前に上がって、「般若心経」を中心とした勤行を一通り唱えて所願成就を祈願しました。もちろん先達さんが頭を唱えて、参加者がそれに従って声を揃えてお経を唱和するわけです。もちろん不信神の私は初体験ですが、みんなで唱えれば恥ずかしげもなくなんとなく心が洗われる気がしました。
巡礼の旅ということで、なんでも形から入る私は、一応帽子から靴まで白っぽいファッションに統一してみました。
鎌倉の1番札所の次は厚木の6番「長谷寺」です。スイスイだった朝とは一変して同じ神奈川県内なのに渋滞で2時間近くかかってやっと12時頃に参道へ。思ったより早めの雨も降り始めましたが、傘をさすほどでもありませんでした。
ここも十一面観音像が祀られていましたが御簾の奥でよく見えませんでした。寺の境内に入るとまず3本の線香と1本のロウソクを立ててから、手水場で手と口を清めてから本堂に上がってお賽銭と願い事を書いたお札を納めてから、また10分ほどの勤行を行います。納経帳は添乗員さんが全員の分をまとめてお寺に記帳してもらえるので手間が省けます。
昼も過ぎて、3つ目の寺に向かうバスの車中でランチタイム。この日は三十三観音ツアー第1回のサービスで、日本料理の老舗なだ万特製弁当をご馳走になりました。平均年齢70歳近い?ジジババ達には量も手頃で、味も上々でした。
厚木の次は7番札所平塚の「光明寺」です。ここの本尊は厨子に入った小ぶりな「聖観音立像」ですが、源頼朝夫人北条政子が安産祈願したという由緒ある寺だそうです。
境内入口の山門には大きな提灯が下げられていて、浅草の雷門のような景観ということでも名を知られているようです。
光明寺は金目観音と呼ばれ、近くを鯉が住みあゆも釣れるという清流金目川が流れていますが、天気がよければここから大きく富士山が見えるようです。近くにある丹沢の大山もこの日は山頂は雲の中でした。
最後に訪ねたのは第5番の小田原・勝福寺。仁王門もご覧の通り立派な構えです。ここは格式が一段と高い寺ということで、社務所を取り巻く土壁には格式を示す五本線が入っていました。
今日訪ねた4つの寺で唯一参拝者の金撞きOKということで、私も列に並んで気持ちよくゴ〜〜ンとやりました。鐘を撞くのは入ったときでないとだめなんだそうです。帰りでは願い事も出てしまうんだとか。
広い境内には樹齢1000年のイチョウの木があったり、二宮金次郎像があったり、この本堂の建築も素晴らしい彫像が至るところにあったりとさすが格式高いお寺です。ちなみにここも本尊は十一面観音ですが、なにやらまっすぐ立っているのではなく、一歩足を出している珍しい姿とか、衆生の災難にすぐに飛んでいくためなんだそうです。
境内の一角に十三の像が並んでいましたが、これは左端の初七日から1周忌や七回忌など順を追って極楽浄土への道を案内してくれる仏様たちで一番右まで来ると33回忌になって、あとは自分で極楽浄土に入ることができるということだそうです。
坂東三十三霊場の旅第1回目はここまで。小田原まで来たということで帰りは鈴広かまぼこセンターに立ち寄り。私も晩酌のつまみを買いました。ここは箱根駅伝の最後の中継地点でもあるんですね。
夕方16時10分に小田原を出て、渋滞の東名高速でどうなることかと思いましたが、うつらうつらしているうちに用賀から首都高に入って、無事18時に東京駅へ到着。夜の帳も降り始めた東京駅舎の上空には朝方の太陽に変わってかわいいお月さんが浮かんでいました。
さて、思いがけず始めてしまった「坂東三十三観音巡り」ですが、せっかくだから月1回開催のバスツアーと自力電車歩き巡礼旅も重ねて進めていこうと思います。